正月や夏休みなど家族水入らずの夕食時には、結構凝ったワインを飲むことが多いのだが、日常ワインの定番は、カリフォルニアDouglass Hill(ナパ・バレー)と決めている。
赤はCABERNET SAUVIGNON白はCHARONNAYだが、California Wineは、ワインの品質や特性を左右する葡萄品種や年号などのラベル表記はワイン法で確りと定められ、ユーザーの知る権利が守られている。
Douglass Hillの品質は、とびっきり上等というわけではないが、CABERNET SAUVIGNONとCHARONNAYの栓を抜くときに誰もが期待する最低限のものは満たしているし、PPキャップのワインが幅を利かせる中、堂々たるコルク栓でリーズナブル、晩酌には“持って来い”のワインである。
しかし、呑兵衛は時々「ほかのワインを飲みたいなー」と思ことがしばしば、新聞チラシなどで「これは!」と思うものが目に留まると、いそいそと買いに出かけることになる。
先日「これは!」と目に留まったのは「MICHEL LYNCH ミシェル・リンチ」、ソーヴィニヨン・ブラン100%で造られたフランス・ボルドー辛口白ワインである。
眼をつむっていても、あたかも、長年居間の壁に架けられている額縁の絵の如く、色・香り・味の形がはっきりと見える定番ワイン、しかし、MICHEL LYNCHを口に入れた途端、落ち着き払っていた甘味や酸味や塩味や苦味やうま味を司る味覚は大混乱、思わず、ワインを舌べらで包むような感じで行う「ヒュー、ジュルジュルジュル、ヒュー、ジュルジュルジュル」というテイスティングの癖が一気に噴き出したのである。
異なる味香が複雑に絡み合い新鮮さが際立つ極辛口のソーヴィニヨン・ブランは、アイルランドからボルドーに移住してきたミッシェル・リンチが労苦を厭わずワインづくりに打ち込み、メドック格付け第五級にまで育て上げたCHATEAU Lynch Bages(シャトー・ランシュ・バージュ)の創始者の名を冠した自信作なのである。
さて、「他のワインを飲みたいなー」と思った次のチャンスには、どんな未知のワインと遭遇することになるのであろうか。
楽しみな事である。