ある著名な方が「原稿を書くのなら、フランス料理の美味しい”山のホテル”が良い」と言われたことがあったが、芦ノ湖を一望できるこのホテルは1947年の開業と聞く。
三菱の創始者.岩崎弥太郎の舎弟.岩崎小弥太男爵(同財閥の4代目当主)の別邸であったところだそうだ。
館と芦ノ湖の間に広がる庭園には遊歩道が縦横に張りめぐらされ、開花の季節はさぞかし素晴らしい景観であろうと思われる姿の美しい躑躅が庭園を埋め尽くしている。
箱根スカイラインの遥か彼方の天空から降りてくる『霧』が、湖面を雲海のごとく埋め尽くし、また、天空に昇っていくという自然の営みは、何と静かで荘厳なことであろうか。
夕食はフランス料理であった。
今宵は、ホテルの料理に敬意を表し、シャンパンとワインで楽しむことにした。PIPER HEDSIECKというシャンパンであったが、重厚で天使の泡立ちも素晴らしく、特別に美味しく感じた。
次の日は昨夜までの濃霧はどこえやら、富士山は見えなかったが、芦ノ湖の湖面は蒼く光り輝いていた。
家族旅行はなかなかできないものだが、他では味わえないしっとり感は捨てがたく、ありがたいことだと感謝している。