我が家の朝食に欠かせないものの一つにバナナがある。妻と二人だけの場合は一本のバナナを仲睦まじく?分け合い、子供たちが来てにぎやかな朝は全員に「クバリ=配リ」をする。
程よい食べごろにして食卓に出すのが自分の役割となってしまったが、この習わしはいつの頃から始まったものであろうか。
この時ばかりは真剣な眼差しを店頭に向けて選ぶのだが、全体が青々(植物防疫法により、輸入は成熟前のバナナに限られるそうだ)としたものや、既に熟し過ぎて傷み始めたものなどが混在しているから、満足のいくバナナを選ぶのはいうほど簡単なことではない。
家でバナナを程よい美味しさに保つのは意外と難しいものである。
3月に入って木の芽時を迎える頃から紫陽花が過ぎて初夏に至る頃までと、虫の音が聞こえてくる頃から師走を迎える頃までの気持ちの良い季節は、バナナに問題が生じることはない。房毎テーブルの上に放置して置いておいても、この季節はバナナをとても優しく扱ってくれるのだ。2房(8本)くらいのものであれば食べ終えるまでの間、黄熟の美味しさを楽しむことができる。
問題は、熱帯夜が続く真夏と底冷えのする真冬の季節である。
冷蔵庫で保存することは厳禁と言われているバナナだから、真夏は、小刻みに買ってきては食べる以外に方法はない、と、思う。
真冬は、バナナにとっては難儀の季節なのだが、こ季節においても黄熟を堪能できる”我が家の秘伝?”がある。
この季節は、彼らを裸のままで放置しておくと夜間の冷え込みで実が氷ったような状態になる。噛むとゴツゴツした感じで「これでは生の大根のほうが余程うまいよ!」ということになってしまう。
先週土曜日(2月19日)の朝日新聞朝刊 be on Saturdayにバナナの食べ頃と保存法が特集されていた(元気のひけつ)。バナナの保存温度について「15~25度が適している。一度低温にさらされると熟成が止まり、甘みがのらなくなる」とあった。
さて、我が家の“秘伝”であるが、付け根により多くの青みが残っているバナナを買い、底にタオルを敷いたプラスチックの食材入れに一本一本(房から外す)並べる(普段は10本くらい)。並べ終ると2枚のタオルを指先で丁寧に突きながら、なるべくバナナと箱との隙間が無くなるようにする。大概の場合、蓋は閉まらず載せるだけの状態になるのだが、更にその上からタオルを2枚重ねてかけておく。
こうしておくと「付け根まで黄色になり、茶色い斑点がポツポツ全体にでた頃=黄熟した状態(同紙.元気のひけつ)」を保つことができる。
毎朝「美味しいバナナだね!」などと決まり文句を言い合いながら、蜂蜜をたっぷりと乗せたヨーグルトをいただく。我が家の一日は、このようにして始まっていく。