玄関の飾り?がクリスマスモードになったというのだが、この3年ばかりは、あまり変わり映えがしない。パッと、周りを明るくするようなニューフェースがやってこないのだから、致し方がない。
しかし、小さな小さな“クリスマスツリー”が飾られる季節になると、昔々の、ほのぼのとした“家族”の想い出が蘇ってくる。「ああー、みんなでクリスマスをうきうきしながら迎えたことがあったんだなー」と、ぽかぽかとした温かい光に包まれた日々を思い出すのである。
妻がタンスの中からアンゴラのセーターを出してきた。クリーニング屋さんから戻ってきた状態でタンスにしまい込んでいたものらしい。薄いビニール袋に入ったセーターを見ながら「懐かしいわね。でも、こんな高価なものを良く買ったもんだね」と、二人で顔を見合わせる。
子育てに忙しかったころ、わずかなボーナスが支給された翌週の日曜日などに、全員そろって日本橋のデパートに繰り出し、クリスマスプレゼントを買ったりしたものだ。我が家にしては “清水の舞台” から飛び降りでもするような「エイ、ヤッ!」という気分で買ったのが、この“アンゴラのセーター”であったのだ。
アンゴラ(Angora)うさぎの毛を紡いだ糸で編まれたセーターは、長い毛足が特徴の二重編、ふわふわと軽くてとても暖かい。値段も値段であったのだが、母子(娘と息子)お揃いで買ったものである。
朝食をとりながらCD「冬のシンフォニー A Winter Symphony」を聞いた。
クリスマスから新年までの“冬の季節”を鮮やかに歌い上げるのは、サラ.ブライトマン。
ビートルズゆかりのロンドン.アビー.ロード.スタジオに大オーケストラや大合唱団を配し、完成までに1年以上要したというこのCDは、満を持して、2008年に発売された。
讃美歌あり、クリスマス.スタンダードナンバーあり、フエルナンド.リマ(カウンターテナー)やマリオ.フラングーリス(テノール)とのデュエットなど、17曲が収録されている。
もう、クリスマスだからといって、みんなで日本橋のデパートに繰り出すことはないのだが、「冬のシンフォニー」に耳を傾けながら、「アンゴラのセーター」などを買った過ぎし日のことを、ぽつりぽつりと語り合うことができるのは、思えば、誠に幸せなことである。