札幌の姉から「お正月に皆さんで食べてね」といって佐藤水産特製の“昆布巻セット”が、また、岩見沢のお兄から「荒巻鮭よりこっちの方がいいべさ」といって超特選 特別本醸造 純金箔入り“月桂冠”が届いた。また数日前、長沼町で農家を営む姪から「いつか、小さいサイズの玉ねぎのほうが使いやすいといっていたから」といってしっかりと実が締まった光沢のある“玉ねぎ”と今評判の北海道米“ゆめぴりか”を送ってくれた。
何年か前までは岩見沢の姉から“鮭やハム”など一便で止まらず二便、三便と届いたものであった。また、札幌の友からも「あらかじめデパートに予約を入れておいたのさ」といって、びっくりするほど立派な“銀毛の鮭”を送ってくれたものだった。
化粧箱から取り出した月桂冠の特別本醸造は、風呂敷包みであった。
瓶に付されていた栞に「室町時代、足利義満が大湯殿を設けた際、大名たちをもてなした家紋入りの絹布が風呂敷の語源といわれています。平包み、隠し包み、ひっかけ包み、すいか包み、ビン包み...など、包み方は様々です」とある。
写真の包み方は「ビン包み」ということになろうか、初めて見る風呂敷の使い方である。
小売店から酒の注文が入ると、ひと昔前までの蔵元は、必ず、くるくると巻き込まれた「包装紙」を同送してくれたものだ。蔵元それぞれのデザインが施された包装紙、中には、芸術性の高いものも含まれていた。小売店は、包装紙を広げカウンターで一升瓶を器用に包み、客に手渡していたものである。
それにしても、この風呂敷の色はなんという色合いなのであろうか。
インターネットの色見本で風呂敷の色を確認してみると「蕃茄紅(ばんかこう?)」という色にちかいものだと思った。“茄”とは、ハスの茎やナスを意味する漢字で、ナスの実のような赤みを帯びた濃い紺色を茄子紺というのだそうだ。
今年10月22日のブログ:銀座タニザワのポシェットのなかに「江戸庶民に人気が広がってきた銭湯=風呂屋、入浴の際に四角形の布で衣服などを包むことが流行り出し、これが”風呂敷”という商品になったとされている」とある。
栞にある通り「大名たちを大湯殿の湯浴みでもてなした足利義満、家紋入りの絹布で衣類を包ませた」ということが史実に近いことだとすれば、室町時代から遥か400有余年の歳月を経て、銭湯が江戸庶民の人気一番となり、四角い布で衣服などを包むことが流行り出した」という我が国特有の“風呂敷文化”発展史の流れが、より鮮明に理解できるというものだ。
子供達と、姉からの昆布巻を肴に兄からの月桂冠を味わえるお正月は、あとわずかでやってくる。