2月10日が79歳の誕生日。数え年では傘寿、とても信じられない齢となった。
定年から20年が過ぎようとしているわけだが、松戸の社宅を引き払らい、日通の引っ越し専用車が到着するのを待って箪笥や本棚やハッチなどの荷物を収めたり、段ボール箱が至る所に散在していてなにかと落ち着かない食卓、家中の片付けが終わった直後に疲れと風邪で三日間も寝込んでしまったりしたことなど、昨日のことのように思い出される。
机に向かい真剣に仕事に取り組んでいた赤ペン先生時代の妻や、74歳まで続けてきた社員研修の仕事や異業種交流会の中枢で大勢の会員と交流ができたことなど、ワンパターンな日常に彩を添える素晴らしき思い出である。
年相応の健康に恵まれている今の暮らしに、感謝しなければならない。
今年も桃の節句が近づいてきた。
毎年毎年なんの変わりようもないお雛様だが、例年より早めに「2月の風」に当て家族皆が健やかに仲良く暮らしていけるように、飾りつけを済ませた。イガ饅頭を供え蕾が膨らんできた木瓜と梅の一枝添えると、お雛様もほほ笑んでいるようだ。
誕生日といっても特別なことは何もないのだが、妻が「今夜は残り物もないし、たまにステーキにでもしてみたら」という。以前は週に1回ほど、良質なニュージランド産の牛を食していたのだが、スーパーの店頭からなくなったこともあり「そういえば、最近ステーキをあまり食べなくなったね」というと「みさき牛にでもしようか」と即決。
地産地消をモットーに愛知県内で育てられ県下のAコープ店のみで販売されている牛が“みさき牛”、近くの形原店に買に出かけた。
久しぶりのステーキを少しでも美味しく頂こうと、CHIMAYのブルーラベルと辛口白ワインを用意した。
シメイ.ブルーはスクールモン(Scourmont)トラピスト醸造所で造られたものだが、2013と年号が刻まれている今宵のシメイ(年号はブルーラベルのみ)、アルコール分9度というこもあって、底知れぬ力強いボディに驚く。濃厚なルビー色が秘める果てしなき魅惑、ベルギービールの頂点を占めるものであろう。
「当然、ヴィンテージが異なれば味わいも異なるんだよなー」などと想像しながら750mlのボトルを飲み干す頃には、ステーキの美味しさも加わり「ほろり」とする酔い心地。白ワインに移りながら「それにしても、賞味期限が2018.12とは驚きだなー」などと感心することしきり。
静かに、79歳の誕生日の宵が過ぎていった。