地球の周りを回る月の軌道は真ん丸ではなく楕円形を描くが故に月の大きさは毎日変わるのだそうだが、中秋の名月・十五夜の翌日九月二十八日(月)は月が地球に一番接近する日で、普段より一割以上大きな満月・スーパームーンが見られた。
時間をかけてじっくりと眺めた分けではないが、少し赤茶けた色合いの大きな月が三河湾の東の方向から姿を現したが、中空に至り、やや黒ずんでいた海上を明るく照らす頃には、透き通るような絹の衣を纏う荘厳で神秘的な表情に変わり、無心に見上げる者たちを、果てしない天空へと引き込んでいく。
素晴らしきスーパームーンであった。
稲穂が頭を垂れはじめ周り一帯を黄金色に染め上げると、青空に映える緑豊かな里山が一層際立ち、エンブレムを思わせる真っ赤な大輪の彼岸花が、刈り入れを間じかに控えた田園風景に見事な彩を添えている。
近くを流れる拾石川の小さな中州にはカモの家族が羽を休め、時折、鮮やかな翡翠色のカワセミなども見かけられる。
初秋の空は夏と秋の雲が入れ替わりでやってくる。
夏空の雲には、何か緊張感を強いられるような感じを受けるが、秋空の雲を見上げていると、心の扉が「ふあっ」と開け放たれて、体が軽くなるように思う。
今日は空いっぱいにいわし雲、自然の理に従って、季節は晩秋へと歩を速めている。