もう一月半くらい前になるか、チューブ入りの香辛料が無くなったので買い物の序に売り場に立ち寄ってみた。いつものように生ショウガや生カラシなどを籠に入れながら棚に並ぶ商品を見ていたら、初めて見るデザインのチューブが目に入った。「なんだろう?」と手に取ってみれば、小さな缶容器の七味唐辛子ではなく「S&B本生 粗切り(生)素材の鮮烈な香り 生七味」と書かれたチューブ入りの “生七味”だ。「珍しいなー、辛味好きの子供たちが喜びそうだ」と思って買ってきた。
それから間もなく息子が来て常夜鍋や焼肉などに付けて食べていたのだが「これ、うま!」となかなか評判が良く、出張帰りに来てくれた娘も「これ美味しいね、サンヨネで買ったの?買い物もしたいから、帰りに買って行こう!」とこれまた大好評。家に帰った息子が地元で「生七味」を探したらしいのだが「国立のスーパーには売っていないよ」というメールが来たのには、思わず笑ってしまった。
去年までは大根や空心菜などの野菜類を時々届けてくれたご近所の方なのだが、想定外の事件に遭い、それ以降顔を見せなくなってしまった。よくお茶に来ていたある日「これ沢山あるけど・・・」と言って綺麗に乾燥した唐辛子を一袋持ってきてくれたことがあった。
妻が、夏休みに帰省した娘に乾燥唐辛子見せ「これ要る?」と聞くと「全部貰っていいの?」と大喜び、その何日か後、野菜を持ってきてくれたその人に、娘が喜んだ時の様子を話すと「まだ沢山あるから」といって、もう一袋持ってきてくれたのであった。
たまたま、マルキの豆腐を買おうとAコープ形原店に行ったとき、地元野菜コーナーに真っ赤な唐辛子が出ていて「綺麗な赤だなー」と見ているうちに、ふと、ご近所の方が持ってきてくれた乾燥唐辛子を思い出し、一袋100円のものを二つ買ってきた。
それから毎日天日干しを続けているのだが、梅の頃とは違って、この弱い秋の陽射しでは、かなりの日数がかかりそうである。それでも、正月までには、綺麗な赤味を残した乾燥唐辛子に仕上がっているのではないかと思う。
唐辛子には色々な種類があることを知って驚いたが、実の先が尖ってやや曲がり鷹の鉤爪(かぎづめ)を連想させることから名付けられたと言われる“鷹の爪”を始め、“魔女の爪”“剣先南蛮”“熊鷹”“本鷹”など、笑ってしまいそうなネーミングが多く見られる
天日干し中の唐辛子の実の先は「すーっ」としているので鉤爪の“鷹の爪”ではないが、資料の写真と照合してみると“熊鷹か本鷹”という品種ではないかと思う。
妻と「これ沢山あるけど・・・と小袋を下げ、得意げな顔をしてお茶に来るそんな日は、もう来ないのかなー」など話すのだが、現実は、なかなか難しいようである。