ゴンドラの船着場近くの店で「色々あったんだけど、あまり時間がなくて・・・もう少し、ゆっくり“選び”ができたら良かったんだけど・・・」と言って土産に買ってきてくれたGRAPPAは「カヴァリーナ ビアンカ」、印象深いPROSECCOを味わった後に飲んでみて、40度もあるというのに柔らか味を感じるモノで「同じ“かすとりブランデー”でも、フランス・ブルゴーニュのマール(Eau-de-vie de marc)とは、一寸違うのかな?」などと、大晦日の賑わいを一層引き立ててくれたのであった。
「Cavallina Bianca GRAPPA」はヴェネト州のZuglianoとかいう町にあるZanin社という蒸留所で作られているようだが、ここを見学してきたという人の手記に「グラッパ・カヴァリーナ・ビアンカは、メルロー、カベルネ、プロセッコの搾りかすを蒸留し、各々をオーク材の樽で熟成し、それらをブレンドして瓶詰される。蒸留は最新の真空連続蒸留機で、数段の清留機を組み合わせて蒸留していた」とある。
その辺りの知識がないので“真空”が果たす蒸留効果の程は分からいのだが、下記の写真のような蒸留機なのであろうか。
グラッパはもともと蒸留即瓶詰した無色透明のモノが主流であったが、最近は樽貯蔵・熟成・価値を高めたモノが増えてきて、色合いも、無色透明から樽熟成による熟成香と熟成色を楽しむ傾向が強くなってきているという。
写真のグラッパは、蒸留即瓶詰した無色透明のMOSCATO(モスカート)と PROSECCO(プロセッコ)だが、娘が「どうしようかな・・・しょうがないなー、うーん、どちらか一本あげるか!」と、弟にMOSCATOを持たせてしまったのだ。
Zanin社の機能的な蒸留機の写真を見て「昔とはずいぶん変わってしまったんだなー、以前、キッコーマンもマンズ・ブランディーを発売していた一時期があったけなー、品質は抜群だったけど売れなかったよなー」と、改めて、溜息をついてしまった。
マンズワイン勝沼ワイナリに据えられていた蒸留機は銅板を打ち出して作られたアランビック(Alembic)の蒸留機で、まさに、芸術品といっても過言ではない代物であった。
フランス・コニャックのCAMUS(カミュ)を訪問したのは1994年10月のことであったが、何機あったであろうか、数えきれないシャラント式単式蒸留機( シャラント式アランビック)がずらりと据えられ広大な樽貯蔵所の威容には度肝を抜かれたものだが、売れない白ワインの在庫の山を前に困り果てた葡萄農家の人々が、錬金術師の「ワインを火で熱すれば素晴らしいものができる」という話に藁にもすがる思いでやってみたのがコニャックの始まりだと聞くと、葡萄の搾りかすを蒸留して作るグラッパやブルゴーニュ・マールなども、何等かの“きっかけ”があったのではないか、気にな所である。
人類が初めて出会ったアルコール飲料は「猿酒」といわれるワインであったが、夫々の酒類には夫々の謂われやきっかけがあったようで、酒と人との関係は、興味尽きないものである。