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2019年 11月 26日
名無しの権兵衛その1(白ワイン)については、微かに残る裏張りの文字を繋ぎ合わせ、何とか、本来の姿=素性に迫ることができたのだが、問題は、名無しの権兵衛その2(赤ワイン)である。
「名無し」などと言う深い森に初めて踏み込むようなエキセントリックなワインを探訪するにはワインを知る複数の相手があることが必須、「あゝでもない、こうでもない」とうん蓄を傾けながらグラスを揺らすのが「彼」に対して敬意を表す最高の方法なのだが、偶然にも、娘の出張と息子の出張が重なり、盆暮れ以外では初めて家族揃って食卓を囲むという又とない機会に恵まれ「深い森の探訪」が始まったのである。 しかし、深い森には黒衣に身を包み長い杖を携えた魔女が住んでいるのか、今から21年前の秋に醸されたMOSELLE LUXEMBOURGEOISE PINOT BLANC(ピノ・ブラン)を抜栓するや否や「何故だ!」と、自分が持つワインの知見を、もののみごとに、揺るがすことになったのである。 LU-NM 01と言う明瞭な押印が認められるコルクを手にした瞬間「21年間も縁の下で横たわっていたワインのコルク栓が、どうしてこんなに確りしているんだろうか?」という、自分には理解不能の壁にぶち当たってしまったのだ。 現在85歳になる書記会計役の前任者が毎年ヨーロッパ旅行に出かけたのは60歳から70歳の初め頃であったが、このワインを彼が70歳の時に買ったと仮定すると、購入は2004年(平成16年)であったことになり、PINOT BLANCが瓶詰めされコルクが打栓された1998年から数えて6年目という事になる。 コルクガシの樹皮をくり抜いて作られるコルク栓は、1㎣に天文学的な細胞がハチの巣状態になっていて、瓶詰から一定の年数を経ると、ワインは徐々に多孔細胞に入り込みコルク栓は「カチッ」と締まってくるが、20年近くにもなると多孔細胞が飽和状態に近づきコルク栓の劣化が始まる。 LU-NM 01と刻印されたコルク栓は、彼が買い求めたと思われるその瞬間の、まだまだ真新しいコルク栓の状態を持ち続けていたので、「何故だ!」と大きな謎に包まれてしまったのである。 PINOT BLANC(ピノ・ブラン)を口に含んだ親子三人は「辛味が後々まで残るような辛口のワインは初めてだね!」と驚いたほどの超辛口ワインであったが、資料によれば、ルクセンブルグの葡萄品種を代表するピノ・ブランは別名オーセロワ(Auxerrois)とも呼ばれているそうで、日照時間に恵まれ水捌けや風通しの良い南向き急斜面で栽培されるピノ・ブランは熟度が高く辛口白ワインに仕上げられるのだという。 若々しい緑がかった色味を帯びていたピノ・ブランは、時間経過と共に艶のある黄金色を帯びてくるとされているが、黄金期を縁の下で過ごしてきたピノ・ブランは黄昏色を呈し、矢張り、21年を経たルクセンブルグであることを実感したのである。 さて問題の名無しの権兵衛ワインその2であるが「うへー」と驚くような異常な液漏れ状態で、キャップシールのネジ切り位置から12センチ下方に貼られているラベル(本張り)上部まで空洞になっている。誰から見ても「酸化が進みワインビネガーになっている」と判断せざるを得ない状況であったが、案の定、漏れたワインで黒々と塗り固められたようなコルク栓にコルクスクリューをまわし込み、いざ引き抜こうとすると、劣化が進み切ったコルク栓は真ん中辺から「ぐじやっ!」と折れてしまったのである。 まだ半分残ってしまったコルクをソムリエナイフで掻き出すのに恐ろしく長い時間がかかったのだが、親子三人のグラスの底に注いだ名無しの権兵衛ワインその2、酸敗してしまってどす黒い色合いかと思いきや、やや黒ずんだレンガ色を呈してはいたが決して醜くい赤ではなく、熟成の極みを思わせる期待感を抱かせるものであった。 口に含んだ親子三人の沈思黙考が続く・・・ やや熟成の頂点を過ぎたボルドー・メドックの特級ワインを思わせるような確りとしたタンニン酸、往時の重厚さ偲ばせるカベルネソービニヨンの味・色・香り、「ボルドーかな?いや、どうかな?」と迷いながら改めて瓶を眺めてみると、ボルドータイプの瓶形に比べ、コルク栓が打ち込まれる首丈が5ミリほど長く、その分だけ、肩部勾配の膨らみが際立ち「ボルドーワインではないかもしれないな?、それでは・・・」と更に深い森の奥へと迷い込んでしまったのである。 一方のラベルは、漏れ出したワインでシャトーの図絵は原型を留めず文字も解読不能、借景に山があるかに見えるシャトーの下に「OR・・・」という文字があり、何とか手掛かりがないものかと、ルーペをかざし、目薬を点しながら何度も挑戦してみた結果「OR・・・・AIA」という文字が確認できたのである。 裏張りもぼろぼろで酷い状態であったが、根気よくルーペを使って見てみると、微かに、Mare Mediterraneo(地中海)という文字とPisaという文字が浮かび上がり「ピサの斜塔があるPisaならば、このワインは地中海に面したイタリア・トスカーナ州のワインなのか?」とだんだんと深い森の濃霧が薄れ視界が開ける思いがしてきたのである。 トスカーナ地方は最高格付けである「DOCGワイン」を多く産し、イタリアワイン格付けの宝庫と言われている州だが、参考書でDOCG一覧を見ても「OR・・・・AIA」に該当するワイナリーやワインは見当たらない。 弓折れ矢尽きて「もうこれまで」と魔女に脱帽しかけたのだが、念のために、輸入ワインの総合商社エノチカのHPを開いてみると、何と、スーパータスカン(イタリアワイン法に縛られないトスカーナ産・世界品質のワイン)の中にORNELLAIA(オルネライア社)として堂々と載っているではないか。 残念ながら自分はそこまでの知識は持ち合わせていなかったのだが、スーパータスカンは、カベルネソ―ヴィニオンやメルローなどの国際的なブドウ品種を使っているためにイタリアのワイン法枠外(格付け外)とされているそうで、高品質で世界から高い評価を受けているのだという。 1981年創業のオルネライア社はトスカーナ州ボルゲリ(BOLGHERI)に位置するが、エノチカの説明によれば、ボルゲリはピサーノ山とティレニア海に囲まれたワインの銘醸地、年間を通じて比較的温暖な気候であるが、葡萄が熟成する夏の時期は太陽の日差しが強く乾燥した地中海性気候を呈し、このエリアの中心的存在であるオルネライア社は、力強いワインを産出することで世界的に有名なワイナリーであるという。 因みに、エノチカのHPでは、2016年のORNELLAIA( 750ml )には37,400 円(税別)の価値が付けられている。 名無しの権兵衛ワインその2が世にも有名なスーパータスカン=オルネライア社のワインであったとは、まさに、エキセントリックな事であったが、ボトルの四分の一が空洞になっていても、まずまず「飲めるワイン」であったという事実は、オルネライア社の丹精の賜物であるのか、それとも、黒衣に身を包み長い杖を携え深い森に住む魔女の仕業であったのか、判断の分かれるところではある。
by c-bridge
| 2019-11-26 17:57
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